Insights / 実測レポート

AI 検索で、自社はどう見えているか

生成 AI に「おすすめの◯◯は?」と聞いたとき、自社の名前が挙がるかどうか。 それを実際に計測した結果と、自分で測る方法を公開しています。

数字はすべて、計測条件(エンジン・反復回数・実施日)を明記したうえで掲載しています。 計測対象・競合の社名は、いずれも伏せています。


LLMO とは何か

LLMO(Large Language Model Optimization)とは、生成 AI が生成する回答の中で、自社の名前が挙がる状態をつくる取り組みのことです。 AIO(AI Optimization)とも呼ばれます。検索結果の順位を上げる SEO とは、勝負している場所が異なります。

AI 回答内の可視性計測とは、生成 AI に想定顧客と同じ聞き方で質問を投げ、返ってきた回答本文に自社・競合の名前が、どれだけの頻度で、何番目に、どのような根拠とともに挙がるかを集計する行為を指します。 流入数ではなく、回答そのものを観測対象にする点が、アクセス解析との違いです。

SEO と LLMO の違い

SEO(従来の検索) LLMO(AI の回答)
結果の形 10 本のリンク一覧 1 つの文章
勝ち負け 何位に表示されるか 名前が挙がるか、挙がらないか
2 位の価値 クリックされる 挙がっていれば価値がある。載らなければゼロ
再現性 数日単位で安定 同じ質問でも毎回変わる
効く要素 自社サイトの作り・被リンク 第三者サイトでの書かれ方の比重が大きい
測り方 順位計測ツールで自動 質問を投げて、回答の中身を読む

「AI からの流入を測る」とは別のことです

混同されやすい点です。アクセス解析で「AI 経由の流入数」を見るのと、「AI の回答内での見え方」を測るのは、まったく別の行為です。

AI 流入の計測(アクセス解析) AI 回答内の可視性計測
分かること AI 経由で何人来たか 回答に名前が挙がるか、何番目か
競合との比較 できない(自社の数字しか見えない) できる
打ち手の特定 できない AI が参照したサイトから特定できる
流入がゼロのとき 何も分からない(データが存在しない) なぜ出ていないかが分かる

AI 経由の流入がまだ少ない段階では、アクセス解析側に十分なデータが存在しません。 流入が少ない企業ほど、回答内を直接見るしかないというのが実務上の結論です。


実測で分かった 7 つの事実

以下はすべて、当方が実際に計測して観測した結果です。

1. 同じ質問を 3 回投げたら、圏外 → 1 位 → 1 位だった

同一の質問を、同じエンジンに 3 分間で 3 回投げました。設定も文言も変えていません。 1 回目は推薦された 4 件に名前がなく圏外、2 回目と 3 回目は 1 位で推薦されました。 集計すると出現率(SOV)67%、出たときの平均順位 1.0 です。

1 回目だけを見れば「AI に相手にされていない」、3 回見れば「1 位を取る力はあるが毎回は出ない」。 同じ対象から、逆の結論が出ます。

計測条件:2026 年 9 月 16 日/Perplexity(Web UI・未ログイン)/同一質問 n=3/士業(相続分野)

2. 名前が挙がったのは、自社サイトが引用された回だけだった

上記 3 回について、AI が回答の根拠として表示した引用元を突き合わせたところ、 対象社のサイトが引用された 2 回のみ 1 位で登場し、引用が 0 件だった 1 回は圏外でした。

AI が参照する情報の中に自社が入っていない限り、回答には出てこないということです。 (3 回の観測であり、引用と推薦の因果関係を証明したものではありません。連動が観測された、という事実の記述です)

計測条件:同上

3. 「引用はされるのに、推薦はされない」状態が存在する

同じ対象社に地名を足した質問を投げたところ、推薦されたのは 7 件で、対象社は含まれていませんでした。 ところが回答本文では、対象社のサイトが 2 か所で「出典」として使われていました。

自社のコンテンツが、競合を紹介するための解説役として消費されている状態です。 コンテンツに投資してきた企業ほど、この状態に陥りやすく、アクセス解析にも順位計測にも映りません。

計測条件:2026 年 9 月 16 日/Perplexity(Web UI・未ログイン)/n=1

4. 全国では 1 位。地名を足すと圏外になった

同じ会社・同じエンジン・同じ日です。変えたのは質問に地名を入れたかどうかだけ。 その地域に拠点があるにもかかわらず、地域を含む聞き方では候補に入っていませんでした。

また、比較のために行った通常の検索では、こちらが何も指定していないのに検索結果が自動的に特定の市区にローカライズされていました。 測る側が地域を意識していなくても、AI と検索エンジンは地域を前提に置いています。

計測条件:同上

5. AI が根拠にした 10 件のうち、8 件が第三者の比較メディアだった

AI が表示した引用元 10 件を分類したところ、内訳は 第三者の比較・ランキング記事が 8 件、競合の自社サイトが 2 件、対象社の自社サイトは 0 件でした。

AI が見ていたのは、大半が自社ではコントロールできない第三者のサイトです。 自社サイトをどれだけ改修しても、AI が参照する情報の構成が変わらなければ回答も変わりにくいということになります。

計測条件:2026 年 9 月 16 日/Perplexity(Web UI・未ログイン)/対象社が圏外だった回の引用元

6. Google の AI 概要は、そもそも生成されないことがある

同じ質問を通常の検索で試したところ、AI による概要は表示されませんでした。 出現率を測るうえでは、「出なかった」のか「そもそも AI が答えていない」のかを区別して記録する必要があります。 区別せずに 0 と数えると、実力を実際より低く見積もります。

計測条件:2026 年 9 月 16 日/Google 検索(未ログイン)

7. Web 検索をしない AI は、根拠 URL を返さない

3 エンジン × 質問 30 本 × 3 回= 270 セッションの計測で、引用元 URL が取得できたのは **3 件(約 1.1%)**でした。 学習した知識から答えており、参照元が存在しないためです。

AI には Web 検索をしてから答える型と、学習した知識だけで答える型があります。 後者だけを測ると「どこに載れば変わるか」が永久に分かりません。

計測条件:2026 年 9 月 15 日/Gemini 2.5 Flash・Claude Sonnet 4.6・GPT-4o mini/質問 30 × 3 回


数字を読むときの、5 つの落とし穴

測るより難しいのは読むほうです。集計を一段間違えるだけで、逆の結論が出ます。

  1. 指名質問を混ぜたまま、全体を平均する — 実際の計測で、全質問をまとめた出現率は 65.56%、自社名を含まない質問だけで計算すると 64.4% でした。低く出る型と高く出る型が相殺して、偶然それらしい値になっていただけです。主指標は、自社名を含まない質問だけで計算してください。
  2. 出現率だけを見る — 出現率がほぼ同じ 2 社(64.4% と 63.6%)で、1 位率は 11.6% と 24.4%、2 倍以上の差がありました。「候補には入るが、最初には挙げられない」状態は、出現率だけでは見えません。
  3. 自分が決めた競合リストしか見ていない — 事前に登録した競合は 4 社でしたが、回答本文から抽出すると 138 サービスの名前が挙がっていました。登録していなかった 1 社が、1 位率で調査対象社を上回っていました。
  4. エンジンをまたいで平均する — 片方で強く、片方でゼロという状態は珍しくありません。平均するとその事実が消えます。
  5. AI 側が変わった期間をまたいで比較する — 数字が動いた原因が自社の施策なのか、AI 側のモデル交代なのかを切り分けられないと、施策の評価を丸ごと間違えます。計測日・エンジン名・モデル名を毎回記録してください。

これら 5 つに共通するのは、「数字が出ていること」と「その数字が意味を持つこと」は別だということです。 社内に出すときも、外部から受け取るときも、母数・質問の型・エンジン・反復回数・実施日の 5 つが添えられているかを確認してください。


打ち手の根拠 — どこまで実証されていて、どこからが仮説か

打ち手を並べた記事は大量にあります。困るのは、そのどれが実証されていて、どれが推測なのかが書かれていないことです。 当方は打ち手を 6 つのレバー・34 項目に整理したうえで、根拠の強さを 4 段階で示しています。

段階 意味
◎ 実証されている 当方の実測、または複数の独立した調査が同じ結論を示している
○ 有力 複数の調査が同方向。ただし条件付き、または検証の設計が弱い
△ 仮説 相関は見えるが、閾値や再現性が確認できていない。言い切らない
✕ 否定されつつある 大規模調査で効果が確認できていない。工数をかけない

勧めていないもの

  • llms.txt の設置は勧めていません。 137,210 ドメインを対象とした調査(2026 年 6 月)で、97% が一度もリクエストされていないことが報告されています。Google も利用していないと明言しており、約 30 万ドメインの分析でも引用頻度との有意な相関は確認されていません。やっても害はありませんが、その工数は比較メディアへの掲載に回すほうが合理的です。
  • 既存ページへの構造化データの後付けは、優先度を下げています。 「既に見つかっているページに足しても引用は動かない」という実測が複数あります。新規に作るページには入れる価値があります。
  • 「AI に自社を学習させる」という施策は、技術的に不正確です。 個社が学習データを操作する手段は存在しません。

着手の順番

順 やること
0 AI クローラをブロックしていないか確認する(5 分で終わります。弾いていたら他が全部無意味です)
1 計測で特定した比較・ランキング記事への掲載
2 既に載っているサイトでの書かれ方の改善(記述量・差別化点・具体的な数値)
3 自社サイトの FAQ・価格・対象の明記
4 社名・サービス名の表記ゆれの統一
5 独自調査データの公開

口コミ施策には法規制があります

割引やギフトを条件に高評価を依頼する、口コミ代行業者に外注する、従業員に事業者と分からない形で投稿させる—— これらはステルスマーケティング規制(景品表示法・2023 年 10 月〜)の対象となりえ、措置命令の対象です。 内容が品質を実際より良く見せていれば優良誤認にもあたり、その場合は課徴金もありえます。 責任を負うのは、依頼した事業者側です。

できるのは、対価を条件にせず内容も指定しない形でレビューの導線を用意すること、「PR」と明示したうえでのタイアップ、許諾を得た顧客の声の掲載です。


よくある質問

LLMO とは何ですか?

生成 AI が生成する回答の中で、自社の名前が挙がる状態をつくる取り組みのことです。AIO とも呼ばれます。検索結果の順位を上げる SEO とは、勝負している場所が異なります。

LLMO と SEO は何が違いますか?

SEO は 10 本のリンクの中で何位に入るかを競います。LLMO は 1 つの回答の中で名前が挙がるかどうかで、順位ではなく「挙がるか、挙がらないか」の世界です。また AI の回答は同じ質問でも毎回変わるため、再現性の扱い方も異なります。

AI 検索での自社の見え方は、どうやって測るのですか?

想定顧客が実際に打ちそうな質問を設計し、複数の AI に同じ質問を繰り返し投げて、返ってきた回答本文に自社・競合の名前が挙がった回数と順位を集計します。あわせて、AI が根拠として示した引用元のサイトを分類します。

何から着手すればいいですか?

最初にやるべきは、自社サイトが AI クローラをブロックしていないかの確認です。5 分で終わり、もし弾いていた場合は他のすべての施策が無意味になります。その次は、計測で特定した比較・ランキング記事への掲載です。

ほかの質問(無料で自分で測れるか、llms.txt・構造化データ・口コミの効果、費用など)は、よくある質問にまとめています。


資料と、無料診断について

本ページの内容を、実測の詳細・自分で測る手順・記録シート・打ち手の全表・出典まで含めてまとめた資料を無料で配布しています。

また、御社の商材で想定される聞かれ方を 8 問設計し、3 エンジン × 各 3 回= 72 セッションを実際に投げる無料診断を行っています。結果は数ページのレポートにまとめて 3 営業日でお返しします。費用はかかりません。 無料診断の結果は御社のものです。社名を含む事例として公開することはありません。


計測条件と免責

本ページに記載した数値は、明記した計測条件(エンジン・モデル・反復回数・実施日)のもとで観測された結果です。 生成 AI の回答は継続的に変動するため、同じ条件で再計測しても同一の結果になるとは限らず、将来の結果を保証するものではありません。 また本ページは、特定の施策によって出現率・順位が向上することを保証するものではありません。

景品表示法・ステルスマーケティング規制に関する記述は、公表されている運用基準にもとづく一般的な整理であり、法的助言ではありません。個別の判断は専門家にご確認ください。

本ページに登場する計測対象・競合はすべて社名を伏せています。特定の企業・サービスを推奨または批判する意図はありません。