この記事の要点
- 出現率(SOV)は、同じ質問を複数回投げたとき、自社の名前が挙がった回の割合です
- 出現率がほぼ同じでも、1 位率は 11.6% と 24.4% と大きく違うことがあります
- 母数・「挙がった」の定義・順位の決め方・同点の扱い・反復回数の 5 つを先に決め、報告にも書きます
出現率(SOV)とは何ですか?
計算式は単純です。
出現率(SOV)= 自社の名前が挙がった回数 ÷ 質問を投げた回数
SOV はシェア・オブ・ボイスの略です。広告の分野では「全体の露出のうち自社が占める割合」を指す言葉ですが、AI 検索の計測では、上の出現率と同じ意味で使われる例が多く見られます。当方も両方を併記しています。
注意したいのは、「名前が挙がった」の数え方で、同じデータでも値が変わることです。
| 「挙がった」の数え方 | 全質問(270 回) | 社名を含まない質問(225 回) |
|---|---|---|
| 回答のどこかで言及された(否定的な言及を含む) | 65.6% | 66.2% |
| 推薦の対象として挙げられた | 64.1% | 64.4% |
差は 1〜2 ポイントですが、定義が書かれていない出現率は、他の数字と比べられません。当方は「推薦の対象として挙げられた」を主な定義にしています。
平均順位と 1 位率は、出現率と何が違うのですか?
出現率は「候補に入る確率」を表します。候補に入ったときにどれだけ強く推されているかは、別の指標で見ます。
| 指標 | 計算 | 分かること |
|---|---|---|
| 出現率(SOV) | 名前が挙がった回数 ÷ 投げた回数 | 候補に入る確率 |
| 出たときの平均順位 | 名前が挙がった回だけで順位を平均 | 候補に入ったときの推され方 |
| 1 位率 | 最も優先して推薦された回数 ÷ 投げた回数 | 最初に勧められる確率 |
| 安定性 | 同じ質問の n 回で「毎回出る/揺らぐ/出ない」に分類 | 再現性があるか |
2 つの実測で、これらが別々に動くことを確認しています。
| 計測 | 比べた 2 者 | 出現率(SOV) | 出たときの平均順位 | 1 位率 |
|---|---|---|---|---|
| 士業(上の計測) | 対象社 | 67%(3 回中 2 回) | 1.0 | 67% |
| 士業(上の計測) | 競合 A | 100%(3 回中 3 回) | 1.67 | 33% |
| オンライン英会話 | 対象サービス | 64.4% | 2.38 | 11.6% |
| オンライン英会話 | 競合 2 | 63.6% | 1.94 | 24.4% |
士業の計測では、出現率で負けている対象社のほうが、出たときには強く推されていました。オンライン英会話では、出現率がほぼ同じなのに、1 位率は 2 倍以上違いました。出現率だけを見ていれば、どちらの差にも気づけません。
オンライン英会話の順位と 1 位は、回答本文を採点用の AI(Gemini 2.5 Flash)が読み、推薦の優先度を判定した順です。士業の順位は、回答の中で挙げられた順番です。
指標は、どう組み合わせて読めばいいですか?
出現率と 1 位率を並べると、状態を 4 つに分けられます。
| 1 位率が高い | 1 位率が低い | |
|---|---|---|
| 出現率が高い | 候補に入り、最初に勧められている | 候補には入るが、最初には挙げられない。何が 1 番手との差かを回答の中身で確認 |
| 出現率が低い | 出れば強いが、出ない回が多い。揺らぎの原因(引用元など)を確認 | 候補に入っていない。参照される場所に載っているかから確認 |
これに安定性(毎回出るか、揺らぐか)を加えると、「たまたま」と「実力」を分けて読めます。
計算するときに、何を決めておく必要がありますか?
同じデータから違う数字が出ないように、次の 5 点を先に決めて、報告にも書いておきます。
| 決めること | 当方の扱い | 決めないと起きること |
|---|---|---|
| 母数 | 社名を含まない質問だけで主指標を出す | 社名を含む質問が混ざり、値が実態と関係なく動く |
| 「挙がった」の定義 | 推薦の対象として挙げられた回 | 定義の違う数字同士を比べてしまう |
| 順位の決め方 | 回答の中の登場順、または推薦の優先度の判定。どちらかを明記 | 順位の意味が計測ごとに変わる |
| 同点の扱い | 同じ優先度なら同順位 | 1 位率が数え方で変わる |
| 反復回数(n) | 1 問につき 3 回以上 | 揺らぎと実力を区別できない |
| 主張 | 根拠の強さ | 根拠 |
|---|---|---|
| 「挙がった」の定義を変えると、同じデータでも出現率が変わる | ◎ 実証 | 当方の実測(65.6% と 64.1%) |
| 出現率が同じでも、1 位率は大きく違いうる | ◎ 実証 | 当方の実測(11.6% と 24.4%) |
| 出現率が低くても、出たときの順位が高いことがある | ◎ 実証 | 当方の実測(出現率 67%・平均順位 1.0) |
根拠の強さは、◎ 実証(当方の実測、または複数の独立した調査が同じ結論)/○ 有力/△ 仮説/✕ 否定されつつある、の 4 段階で示しています。
集計の段階で逆の結論が出る落とし穴は、LLMO 効果測定の 5 つの落とし穴:出現率だけでは失敗する にまとめました。