実測レポート

AI の回答に登場したのは、引用された回だけだった

生成 AI に同じ質問を 3 回投げると、ある企業が 1 位で挙がったのは、自社サイトが根拠として引用された 2 回だけでした。引用が 0 件だった回は圏外です。この連動から何が言えて、何が言えないのかを整理します。

この記事の要点

  • 同じ質問を 3 回投げると、対象社のサイトが引用された 2 回だけ 1 位で挙がり、引用がなかった 1 回は圏外でした
  • この 3 回の観測では、引用が推薦の原因だとまでは言えません(逆の因果や共通の原因も否定できません)
  • それでも、引用されなかった回に挙がった例が 1 つもなかったことは、何から確かめるかを決める手がかりになります

AI の回答の「引用元」とは何ですか?

引用元は、その回に AI が読んだ材料の一覧です。一方で、回答本文の中で「おすすめは◯◯です」と挙げられることを、ここでは登場(推薦)と呼びます。

引用登場(推薦)
どこに現れるか回答の根拠として示されるリンク回答本文の中の、勧められる候補
何を意味するかAI がその回に読んだ材料AI がその回に勧めた相手
自社について分かること自社の情報が材料に入ったか自社が候補として選ばれたか

名前が挙がった回と、挙がらなかった回で何が違いましたか?

士業(相続分野)の事務所を探す、社名を含まない質問を 1 問用意し、同じ文面のまま 3 回投げました。回答に登場したかどうかと、引用元の中身を 1 回ずつ突き合わせています。

回対象社サイトの引用対象社の扱い引用元の様子
1 回目0 件圏外10 件。第三者の比較記事 8 件、競合の自社サイト 2 件
2 回目あり1 位事務所の選び方(申告の実績を確かめる、専門性の度合いを見る)を説明する根拠として、対象社のサイトが使われた
3 回目あり(複数か所)1 位年間の申告件数・在籍人数・拠点数といった具体的な数字を添えて、対象社が紹介された

対象社のサイトが引用された 2 回は 1 位で登場し、引用がなかった 1 回は圏外でした。

違ったのは対象社の扱いだけではありません。1 回目に推薦された 4 事務所には、それぞれ比較記事が根拠として添えられていました。2 回目・3 回目では、1 回目には見られなかったドメインが引用元に加わり、推薦される顔ぶれも入れ替わっています。推薦のリストと引用元の顔ぶれは、3 回とも一緒に動いていました。

3 回目の回答で使われた数字は、対象社のサイトに載っているものでした。ページに書かれた具体的な数字が、そのまま紹介文の材料になった形です。

引用されたから、名前が挙がったのですか?

そう読みたくなりますが、この 3 回だけでは断定できません。同じ観測は、少なくとも 3 通りに説明できます。

解釈中身この観測で否定できるか
A. 引用が推薦を生んだ対象社のページを読んだから、対象社を挙げた否定できない
B. 推薦が引用を呼んだ先に対象社を挙げると決め、その裏づけとして対象社のページを示した否定できない
C. 共通の原因があったその回の検索結果の違いが、引用と推薦の両方を動かした否定できない

A なら「参照される場所に載ること」が直接効き、B や C なら話はもう少し複雑です。どれが実態に近いかを区別するには、同じ質問を多数回投げ、引用された回とされなかった回の出現率を比べる必要があります。当方はまだ、その規模の計測を行っていません。

それでも、この観測には意味があります。「自社サイトが引用されなかった回に、自社が挙がった例は 1 つもなかった」からです。参照される材料に入ることが、挙がるための前提になっている可能性がある——少なくとも、そこから確かめる理由にはなります。

主張根拠の強さ根拠
引用元に対象社が載っていた回だけ、対象社が回答に挙がった◎ 実証本記事の実測(3 回)
引用されたことが、推薦の原因になった△ 仮説上の A〜C を区別できていない
ページに載った具体的な数字は、回答の紹介文にそのまま使われうる△ 仮説3 回目の観測 1 件のみ
引用されさえすれば、推薦される✕ 否定されつつある引用されても推薦されない状態を、別の質問で観測(AI に引用はされるのに、推薦されない)

根拠の強さは、◎ 実証(当方の実測、または複数の独立した調査が同じ結論)/○ 有力/△ 仮説/✕ 否定されつつある、の 4 段階で示しています。

この連動を、自社で確かめるにはどう測ればいいですか?

回答に自社が挙がったかどうかだけでなく、その回の引用元をすべて書き出して、自社の情報が入っていたかを 1 回ずつ記録します。

回ごとに記録すること理由
自社の名前が挙がったか・何番目か登場の記録
引用元のドメインすべて材料の記録。回ごとの入れ替わりが見える
自社サイトが引用元に入っているか自社の情報が材料に入ったか
自社が紹介されている第三者のページが入っているか自社サイト以外から材料に入る経路もある

記録がたまったら、引用の有無で分けて出現率(SOV)を出します。今回の 3 回を当てはめると次のとおりです。

回数自社が挙がった回出現率(SOV)
自社サイトが引用された回22100%
引用されなかった回100%

回数が少ないうちは、この差は偶然でも起こりえます。質問の本数と回数を増やしても同じ差が続くかどうかが、確かめるべき点です。

なお、引用元を示すのは Web 検索をしてから答える AI だけです。検索をしない AI では、この突き合わせ自体ができません(検索しない AI からは、引用元を取得できない)。

よくある質問

引用元に自社サイトが入れば、必ず名前が挙がりますか?

いいえ。自社サイトが根拠として使われているのに、推薦の中には名前がない状態を観測しています。引用されることと推薦されることは、別の段階です。

引用元は、どこで確認できますか?

Web 検索をしてから答える AI では、回答の下や文中に番号つきのリンクとして示されます。1 回ごとに中身が変わるため、回ごとに全件を書き出して記録してください。

3 回の観測で、何か言えるのですか?

言えるのは「連動が観測された」という事実までです。引用が推薦の原因だとは言えません。それでも、自社サイトが引用されなかった回に挙がった例が 1 つもなかったことは、何を先に確かめるべきかを決める手がかりになります。

計測条件と免責

本ページに記載した数値は、明記した計測条件(エンジン・モデル・反復回数・実施日)のもとで観測された結果です。 生成 AI の回答は継続的に変動するため、同じ条件で再計測しても同一の結果になるとは限らず、将来の結果を保証するものではありません。 また本ページは、特定の施策によって出現率・順位が向上することを保証するものではありません。

法規制に関する記述は、公表されている運用基準にもとづく一般的な整理であり、法的助言ではありません。個別の判断は専門家にご確認ください。

本ページに登場する計測対象・競合は、特に断りのない限り社名を伏せています。特定の企業・サービスを推奨または批判する意図はありません。