この記事の要点
- 自社のサイトが AI の答えの根拠として使われているのに、推薦の候補には名前が挙がらない状態があります
- 地名を含む質問で、対象社のサイトは 2 か所で根拠に使われましたが、推薦された 7 事務所には入りませんでした
- この状態は「参照される」段階は満たし、「推薦に値する形で書かれる」段階で止まっていると整理できます
「引用されるが推薦されない」とは、どういう状態ですか?
引用元に自社がいるかどうかと、推薦に自社がいるかどうかを組み合わせると、1 回の回答は次の 4 つのどれかに分かれます。
| 状態 | 引用元に自社 | 推薦に自社 | 起きていること |
|---|---|---|---|
| 引用も推薦もされる | あり | あり | 材料として読まれ、候補として勧められている |
| 引用されるが推薦されない | あり | なし | 自社の情報が、説明の材料としてだけ使われている |
| 推薦されるが引用されない | なし | あり | 第三者の記事などを根拠に勧められている |
| どちらもない | なし | なし | その回の材料に入っていない |
SEO の物差しで見れば、コンテンツが参照されている時点で成功です。ところが AI の回答の中では、候補に入っていない。同じコンテンツが、一方の物差しでは成功、もう一方では失敗になっている状態です。
実際に、どんな回答で起きていましたか?
当方の実測では、2 つの回答でこの状態を観測しました。
| 質問 | 引用のされ方 | 推薦 | |
|---|---|---|---|
| 事例 1 | 地名を含む、事務所を探す質問 | 対象社のサイトが 2 か所で根拠に使われた。使われたのは、その地域の事情(相続を扱う事務所が多いこと、中心部の駅周辺に集まっていること)を説明する文 | 推薦された 7 事務所に対象社なし |
| 事例 2 | 地名を含まない、同じ分野の質問 | ある競合事務所の自社サイトが、引用元 10 件のうちの 1 件に入っていた | 推薦された 4 事務所にその競合なし。3 回を通して一度も推薦されなかった |
事例 1 の対象社は、その地域に拠点を持っています。しかも、地名を含まない質問では 3 回中 2 回、1 位で推薦されていた法人です(AI の回答は毎回違う?同じ質問を 3 回投げた実測)。
それでも、地名を足した質問では、自社の文章が「この地域にはこういう事務所が多い」という前置きに使われ、推薦の枠には別の 7 事務所が並びました。自社のコンテンツが、競合を紹介するための解説役になっていたことになります。
なぜ、引用されても推薦されないのですか?
AI の回答に挙がるまでには、①参照される情報の中に存在する、②その中で推薦に値する形で書かれている、③回答に採用される、という段階があります。この状態は、①は満たしているが、②で止まっていると整理できます。
では、なぜ②で止まったのか。観測から考えられる理由を、根拠の強さとあわせて並べます。
| 主張 | 根拠の強さ | 根拠・補足 |
|---|---|---|
| 引用はされるが推薦されない状態は、実在する | ◎ 実証 | 本記事の 2 事例 |
| 引用されさえすれば、それだけで効果がある | ✕ 否定されつつある | 本記事の 2 事例が反例 |
| 引用されたページが、事務所の紹介ではなく地域の解説だった | △ 仮説 | 事例 1 で使われたのは、地域事情を説明する文だった |
| 質問の条件(地域)に合う形で、自社が書かれた情報が弱かった | △ 仮説 | 同じ回に推薦された事務所の多くは、その事務所自身のサイトが根拠だった(地域による違い) |
| 推薦の根拠になる情報(実績の数字や強み)が、参照された情報の中で薄かった | △ 仮説 | 地名なしの質問で 1 位になった回は、実績の数字つきで紹介されていた(引用と登場の連動) |
| 解説記事を多く持つ企業ほど、この状態になりやすい | △ 仮説 | 筋道としては考えられるが、比べた計測はない |
当方は、この状態への打ち手を「載り方の質」——記述の量、何に強いかの明記、具体的な数字——に置いています。ただし、どれがどれだけ効くのか、どの程度書けば足りるのかは確認できていません(△ 仮説)。ここを断定する説明には注意してください。
根拠の強さは、◎ 実証(当方の実測、または複数の独立した調査が同じ結論)/○ 有力/△ 仮説/✕ 否定されつつある、の 4 段階で示しています。
自社がこの状態かどうかは、どう確かめますか?
この状態は、ふだん見ている数字には映りません。アクセス解析に残るのは訪問が起きたかどうかだけで、回答の中で推薦されなかったことはどこにも記録されません。順位計測ツールも、AI の回答本文の中身までは見ていません。Search Console の生成 AI のレポート(2026 年 8 月から全世界に提供)でも、分かるのはリンクが表示された回数までで、推薦されたかどうかは分かりません(Search Console の生成 AI レポートで分かること)。
確かめるには、Web 検索をしてから答える AI(引用元を示すもの)に質問を投げ、1 回ごとに次を記録します。
| 回ごとに記録すること | 見るポイント |
|---|---|
| 引用元に、自社サイトのドメインが入っているか | 入っていれば①は満たしている |
| 推薦の中に、自社の名前があるか | 引用ありで推薦なしなら、この状態 |
| 自社の文章が、回答のどの部分の根拠に使われたか | 自社の紹介か、一般的な解説か |
| 質問に地名や対象者などの条件が入っているか | 条件つきの質問で起きやすいかを見る |
記録がたまったら、上の 4 分類で回数を数えます。「引用されるが推薦されない」の回が多い質問は、①参照される段階ではなく、②書かれ方の段階を先に見直す候補になります。
特に、地域や対象者を条件にした質問と、自社が解説記事を多く持っているテーマから測ると、この状態を見つけやすくなります。