この記事の要点
- 根拠をもって言えるのは、「答えは毎回変わる」「おすすめの根拠の多くは第三者のページ」「効果は同じ条件の前後比較でしか言えない」などです
- 言わないほうがいいのは、成果の約束、学習データを操作できるかのような説明、根拠の弱い施策、法律に触れうる施策です
- 測る → 根拠を書き出す → 根拠の強い打ち手 → 測り直す → 条件つきで報告、の順で進めると、あとで説明がつきます
クライアントに、根拠をもって言えることは何ですか?
6 つあります。当方の実測と公開情報で確かめられたものだけを挙げます。
| # | 言えること | 根拠 | 根拠の強さ |
|---|---|---|---|
| 1 | AI の答えは、聞くたびに変わる | 同じ質問 3 回で「圏外 → 1 位 → 1 位」。施策なしで 27 分のあいだに出現率が 9 ポイント動いた | ◎ 実証 |
| 2 | 「おすすめは?」の根拠の多くは、第三者のページ | 4 分野の根拠 40 件のうち 32 件が第三者のページ、推薦された各社の公式ページは 0 件 | ◎ 実証 |
| 3 | 検索して答える型と、学習した知識だけで答える型がある | 検索しない設定の AI に 270 回聞いて、根拠のページは 0 件 | ◎ 実証 |
| 4 | 最初に確かめるのは、比較記事やポータルでの載り方 | 2 の内訳から、答えの材料に直接つながりやすい | ○ 有力 |
| 5 | 自社サイトには、数字・料金・よくある質問をはっきり書く | 数字や統計を載せたページが引用されやすいという調査が複数ある | ○ 有力 |
| 6 | 効果は、同じ条件の前後比較でしか言えない | 1 の揺れの幅を超えたときに、はじめて「動いた」と言える | ◎ 実証 |
1 の実測は AI の回答は毎回違う?同じ質問を 3 回投げた実測 と LLMO の効果検証、2 は AI の根拠 40 件を分類、3 は 検索しない AI からは、引用元を取得できない に、計測の条件ごと載せています。
根拠の強さは、◎ 実証(当方の実測、または複数の独立した調査が同じ結論)/○ 有力/△ 仮説/✕ 否定されつつある、の 4 段階で示しています。
言わないほうがいいことは、何ですか?
6 つあります。どれも、あとで説明がつかなくなるか、クライアントに法律上の責任を負わせかねないものです。
| # | 言わないほうがいいこと | なぜか | 代わりに言うこと |
|---|---|---|---|
| 1 | 「AI 検索で 1 位にします」「必ず出るようにします」 | 答えが毎回変わる以上、約束できない | 「いまの見え方を測り、打ち手の優先順位を出します」 |
| 2 | 「AI の学習データに、御社の情報を入れます」 | 個社が学習データを狙って操作する手段はない。技術的に不正確 | 「AI が読んでいる情報源に、正しい情報が載っている状態を作ります」 |
| 3 | 「llms.txt を用意すれば、AI に読まれます」 | 効果の根拠は見つかっておらず、否定する調査がある | 「工数をかける価値は薄く、比較記事での載り方を先に確かめます」 |
| 4 | 「構造化データを足せば、引用が増えます」 | すでにあるページに後から足しても引用は動かない、という実測が複数ある | 「新しいページを作るときに整えます」 |
| 5 | 「口コミを増やしましょう」(やり方を添えずに) | 割引や謝礼を条件に頼むと、ステルスマーケティング規制の対象。措置命令の対象であり、内容によっては優良誤認として課徴金もありえる。責任を負うのは依頼したクライアント | 「対価を伴わない導線を作り、内容は操作しません」 |
| 6 | 計測の結果を、広告で「AI 検索で 1 位」と書く | 回によって変わる結果を、いつも 1 位であるかのように見せると、不当表示として問題になりうる | 「計測の結果は、条件つきの社内資料として使います」 |
2 は 「AI に学習させる SEO」が成立しない理由、3 は llms.txt に効果はあるのか、4 は 構造化データは LLMO に効くのか、5・6 は 口コミを増やす LLMO 施策と、ステマ規制 と 「AI 検索で 1 位」の広告表示は景表法に触れるおそれ で詳しく扱っています。
クライアントからよく聞かれる質問には、どう答えればいいですか?
分かっていることと分かっていないことを分けて答えます。
「ChatGPT に出るようにするには、どうすればいい?」と聞かれたら?
ChatGPT が検索して答えるときと、検索せずに答えるときで、材料が違います。検索して答えるときは、ほかの AI と同じく、読んでいるページに載ることが基本です。まずは、どの質問で、どのページが読まれているかを測るところから、と答えます。
「いつ効果が出る?」と聞かれたら?
分からない、と正直に答えます。AI の答えは施策がなくても動くので、1 か月で判断すると、揺れを効果と取り違えます。数か月の前後比較を前提に計画します。
「SEO と何が違う?」と聞かれたら?
重なるところは多いと答えます。検索の上位に出るページは、AI の根拠にもなりやすいからです。違うのは、AI の答えでは自社のサイトより第三者のページが材料になることが多い点と、結果が毎回変わる点です。
提案と報告は、どう進めればいいですか?
5 つの段階で進め、報告には必ず計測の条件を添えます。
| 段階 | やること |
|---|---|
| 1. 測る | 社名を入れない質問を 5〜10 本、3 つ前後の AI に 3 回ずつ聞く |
| 2. 根拠を書き出す | どのページが根拠になっていて、クライアントは載っているか |
| 3. 根拠の強い打ち手から | 比較記事・ポータルでの載り方 → 自社サイトの数字と料金 → よくある質問 |
| 4. 同じ条件で測り直す | 1〜2 か月後に、同じ質問・同じ AI・同じ回数・同じ時間帯で |
| 5. 条件つきで報告する | 数字には計測の条件を 1 行添える。変わらなかったときも、変わっていないと書く |
報告に添える 1 行は、たとえば次のような形です。「計測条件:2026 年◯月◯日/Perplexity・ChatGPT・Gemini/社名を含まない質問 8 本 × 各 3 回/出現率は取得できた回数を母数に計算」。質問の例は AI に聞く質問の例:業種別 40 本のテンプレート にあります。
制作会社自身は、まず何を測ればいいですか?
自社の分野の AI の答えです。クライアントの支援を始める前に、自分の会社が AI にどう見えているかを知っておくと、説明に説得力が出ます。
当方が「東京でおすすめのホームページ制作会社は?」を AI に聞いたとき、AI は会社名を挙げず、一覧記事を紹介しました。根拠 10 件のうち 5 件は、制作会社が自社のサイトで書いた「東京の制作会社◯選」の記事でした。
AI の答えの材料を、制作会社自身が書いているということです(地域の会社を AI に聞くと、会社名は出なかった)。自社が根拠の一覧記事に載っているか、どう紹介されているかを、クライアントより先に確かめておくことを勧めます。同業者を含む一覧記事を自社で書く場合は、選んだ基準と調べた日を書き、自社だけを不自然に良く見せる書き方は避けてください。