この記事の要点
- 計測で 1 位になった結果を「AI 検索で 1 位」と広告に書くと、景品表示法上の問題になるおそれがあります
- AI の答えでの 1 位は、質問・AI・回数・日時で動く値で、広告の根拠にしにくいものです
- 社内資料や経営判断の材料として使う分には問題ありません
「AI 検索で 1 位」と広告に書くと、何が問題なのですか?
AI 検索での見え方を計測すると、「自社が 1 位だった」という結果が出ることがあります。これを広告やサイトに転記するときは注意が必要です。
計測結果を広告に転記すると違反になりえます。
| 表現 | 判定 |
|---|---|
| 「AI 検索で 1 位」「AI が最も推薦」 | ❌ 比較優良広告・優良誤認のおそれ |
| 社内資料・経営判断の材料として使う | ✅ 問題なし |
ここでいう広告には、チラシや広告枠だけでなく、自社サイトや営業資料での表示も含まれうる点に注意してください。
なぜ、計測結果の「1 位」は広告の根拠にしにくいのですか?
理由は 2 つあります。1 つ目は、AI の回答での 1 位は、条件しだいで動く値だということです。
| 変えた条件 | 同じ対象の「1 位」の扱い |
|---|---|
| 同じ質問を 3 分おきに 3 回 | 圏外 → 1 位 → 1 位 |
| 同じ分野の質問に地名を足した | 1 位 → 圏外(推薦された 7 件に入らず) |
| 同じ質問群を別の AI に投げた | 1 位になった割合が 6.7%・10.7%・17.3% と AI ごとに違った |
どの AI に、どの質問を、いつ、何回投げたかで結果が変わる以上、「AI 検索で 1 位」という短い言葉は、実態より広い意味で受け取られるおそれがあります。
2 つ目は、「1 位」の根拠として求められる水準です。消費者庁は 2024 年 9 月に公表した「No.1 表示に関する実態調査報告書」で、No.1 表示が合理的な根拠にもとづくといえるための考え方を示しています。
| 報告書で示された考え方 | AI の計測結果に当てはめると |
|---|---|
| 比べる商品・サービスが適切に選ばれていること | 比べているのは、その回に AI が挙げた範囲だけ |
| 調査の対象が適切に選ばれていること | どの質問を選ぶかで結果が大きく変わる |
| 調査が公平な方法で行われていること | AI・日時・回数・ログイン状態などの条件で結果が変わる |
| 表示の内容と調査の結果が対応していること | 特定の条件での 1 位を「AI 検索で 1 位」と一般化しやすい |
最終的な判断は個別の事情によりますが、計測結果をそのまま No.1 表示の根拠にするのは難しい、と当方は考えています。
| 主張 | 根拠の強さ | 根拠 |
|---|---|---|
| AI の回答での 1 位は、質問・AI・回数・日時で変わる | ◎ 実証 | 当方の 2 つの実測 |
根拠の強さは、◎ 実証(当方の実測、または複数の独立した調査が同じ結論)/○ 有力/△ 仮説/✕ 否定されつつある、の 4 段階で示しています。
計測結果は、どこまでなら使えますか?
社内資料・経営判断の材料として使う分には問題ありません。計測の目的は、どこで負けているのか、何を直すべきかを判断することにあります。
医療機関の場合は、さらに注意が必要です。医療広告ガイドラインで比較優良広告が禁止されているため、「AI 検索で当院が 1 位」「AI に最も推薦されているクリニック」といった表現は、比較優良広告に該当する可能性が高いと考えられます。
表示に使うかどうか迷う場合は、表示する前に弁護士などの専門家に確認してください。ChatGPT などの AI の中に出す広告の文面も、同じ考え方で確認が必要です(ChatGPT の広告と、回答の中のおすすめは別物)。
計測を依頼するとき・受けるときに、何を決めておくべきですか?
計測結果が意図せず広告に使われないよう、報告の段階で取り扱いを明記しておくことを勧めます。当方のレポートでは、次の注記を入れています。
| 注記 | 入れる理由 |
|---|---|
| 本レポートは記載の計測条件(反復回数・エンジン・実施日時)下での観測結果であり、将来の結果を保証するものではない | 条件つきの観測であることを明確にする |
| 本レポートの数値を広告に転記しないこと | 「AI 検索で 1 位」などの表示につながるのを防ぐ |
| 医療機関の場合、比較優良広告に該当する可能性があること | 業種による規制の違いを伝える |
報告書に何を書くかは LLMO レポートで、社内に何を出すか にまとめました。