この記事の要点
- 同じ計測データでも、「出現」の数え方を変えるだけで出現率は 64.1% にも 65.6% にもなります
- 数字には、母数・質問の型・「出現」の定義・エンジン・反復回数・実施日を必ず添えます
- 注記は、読む人が数字を過大に受け取らないための安全装置です
LLMO レポートとは、何を報告するものですか?
目的は、どこで負けているのか、次に何を確かめ、何をするのかを社内で決めることにあります。当方のレポートは、次の順で組み立てています。
| 順 | 載せるもの | 中身 |
|---|---|---|
| 1 | 結論 | どこで勝ち、どこで負けているかを 3 行で |
| 2 | 主指標 | 社名を含まない質問での出現率(SOV)と 1 位率 |
| 3 | 競合との比較 | 登録外の競合を含めた並び |
| 4 | エンジン別 | AI ごとの見え方の違い |
| 5 | 引用元 | AI が何を根拠にしたか(取れる場合のみ) |
| 6 | 回答の原文 | 数字の根拠になった実際の回答 |
| 7 | 計測条件と注記 | 下の章 |
数字と一緒に、何を必ず書くべきですか?
同じデータでも、数え方しだいで数字が変わるからです。当方の計測で確かめました。
| 数え方の違い | 値 |
|---|---|
| 「回答のどこかで言及された」回を数えた出現率(全質問) | 65.6% |
| 「推薦の対象として挙げられた」回を数えた出現率(全質問) | 64.1% |
| 同じく「推薦」で、社名を含まない質問だけ | 64.4% |
| 同じく「推薦」で、競合名を含む質問だけ | 5.6% |
| 同じく「推薦」で、自社名を含む質問だけ | 100% |
数字だけを並べると、どれが正しいのか誰にも判断できません。そこで、数字には必ず次の 6 つを添えます。
| 添えるもの | 例 |
|---|---|
| 母数 | 社名を含まない質問 25 問 × 3 エンジン × 3 回 = 225 回 |
| 質問の型 | 非指名のみ/指名を含む |
| 「出現」の定義 | 推薦の対象として挙げられた回 |
| エンジンとモデル名 | 3 つの AI の名前と版 |
| 反復回数 | 1 問 3 回 |
| 実施日 | 2026 年 9 月 15 日 |
母数をそろえないと、何が起きますか?
1 つのレポートの中で母数が混ざると、読む人は気づかないまま違うものを比べます。混ぜてはいけない組み合わせは次のとおりです。
| 混ぜてはいけないもの | 起きること |
|---|---|
| 社名を含む質問と、含まない質問 | 5.6% と 100% が打ち消し合い、実態と関係のない値になる |
| 「言及」で数えた数字と、「推薦」で数えた数字 | 同じデータでも値が変わる |
| Web 検索をする AI と、しない AI | 仕組みの違うものの平均になり、どちらの実態も消える |
| 反復回数の違う計測 | 揺らぎの出方が違う |
| モデルが違う期間 | 施策の効果と AI 側の変化が混ざる |
レポート全体で母数を 1 つに決め、すべての指標をそれで出すのが原則です。社名を含まない質問を主な母数にしたなら、競合比較もエンジン別も、同じ母数で出します。
引用元の分析は、根拠の URL が十分に取れたときだけ行います。当方は、URL が取れた回が全体の 2 割に満たない場合、引用元の章は作らず、作れないことを明記しています。上の計測では 270 回中 3 回しか URL が取れなかったため、引用元の分析は行っていません。
注記には、何を書けばいいですか?
注記は、読む人が数字を過大に受け取らないための安全装置です。当方のレポートでは、次の注記を入れています。
| 注記 | 入れるとき |
|---|---|
| 本レポートは記載の計測条件(反復回数・エンジン・実施日時)下での観測結果です。生成 AI の回答は継続的に変動するため、将来の結果を保証するものではありません | 常に |
| 施策の前後の変化は事実として記載しており、施策が原因であることを示すものではありません | 前回との比較を載せるとき |
| 引用元の分析は、根拠の URL が十分に取れなかったため行っていません | 検索をしない AI が中心のとき |
| 回答の判定に使った AI が、計測対象の AI にも含まれています | 判定用の AI と計測する AI が重なるとき |
| 本レポートの数値を広告に転記しないでください | 常に(「AI 検索で 1 位」などの表示を防ぐ) |
最後の注記の理由は 「AI 検索で 1 位」の広告表示は景表法に触れるおそれ に書きました。
| 主張 | 根拠の強さ | 根拠 |
|---|---|---|
| 「出現」の定義を変えると、同じデータでも出現率が変わる | ◎ 実証 | 当方の実測(65.6% と 64.1%) |
| 質問の型を混ぜると、値が実態と関係なく動く | ◎ 実証 | 当方の実測(5.6% と 100%) |
| 施策の前後で動いた数字は、施策の効果を示す | ✕ 否定されつつある | 揺らぎやモデル交代と区別できない(LLMO の効果検証:モデル交代と施策の効果を分ける) |
根拠の強さは、◎ 実証(当方の実測、または複数の独立した調査が同じ結論)/○ 有力/△ 仮説/✕ 否定されつつある、の 4 段階で示しています。