この記事の要点
- 割引やギフトを条件に高評価を依頼する、口コミ代行業者に外注するなどは、ステルスマーケティング規制の対象になりえます
- 違反すると措置命令の対象です。内容によっては優良誤認として課徴金もありえます。責任を負うのは依頼した事業者です
- 対価を条件にせず、内容も指定しない形なら、レビューを書ける導線を用意することはできます
ステマ規制とは何ですか?
LLMO で最も勧められがちな施策の 1 つが「口コミを増やす」です。AI が参照する場所に良い評判が多く載っていれば、推薦されやすくなるのではないか、という考え方です。
ところがこの施策は、やり方によっては日本では規制の対象になります。安易に進めると、自社を違反に近づけることになります。
口コミを増やす施策の、何が問題になるのですか?
次は「事業者の表示」として扱われ、規制対象になります(消費者庁 運用基準)。
| 行為 | 判定 |
|---|---|
| 割引・ギフトを条件に高評価を依頼する | ❌ 違反になりうる |
| 口コミ代行業者に外注する | ❌ 違反になりうる |
| 従業員に投稿させる(事業者と分からない形で) | ❌ 違反になりうる |
| 競合の低評価投稿を依頼する | ❌ 違反 |
| アフィリエイターへの委託表示 | ❌ 事業者の表示として扱われる |
| 「#協力」「#コラボ」等の曖昧な表記 | ❌ 不十分とされうる |
罰則の対象は広告主=クライアント。
口コミを書いたのが第三者であっても、事業者が内容の決定に関わっていれば事業者の表示として扱われます。依頼を受けた代行業者ではなく、依頼した事業者の側が責任を負う点が重要です。
違反すると、どうなるのですか?
罰則: 措置命令(差止め・再発防止・公表)。
ここは正確に理解しておく必要があります。課徴金(売上額の 3%)は優良誤認・有利誤認に課されるもので、ステマ告示違反それ自体は対象外です。 ただし依頼した口コミの中身が品質を実際より良く見せていれば優良誤認にもあたり、その場合は課徴金がありえます。
まとめると、「措置命令の対象です。内容によっては優良誤認として課徴金もありえます」が正確な言い方です。「必ず課徴金が科される」わけではありませんが、「措置命令だけで済む」とも限りません。
さらに Google や各プラットフォームの規約違反でもあり、口コミ削除・アカウント停止のリスクがあります。
| よくある説明 | 正確かどうか |
|---|---|
| 「ステマをすると課徴金が科される」 | 不正確。課徴金(売上額の 3%)は優良誤認・有利誤認に課されるもので、ステマ告示違反それ自体は対象外です |
| 「ステマは措置命令だけで済む」 | 不正確。依頼した口コミの中身が品質を実際より良く見せていれば優良誤認にもあたり、その場合は課徴金がありえます |
| 「措置命令の対象です。内容によっては優良誤認として課徴金もありえます」 | 正確 |
検索のルールも同じ方向に動いています。Google は 2026 年 7 月 24 日、レビューのスニペット(構造化データ)のガイドラインに、偽のレビューや、金銭・割引・無料の提供などの見返りと引き換えに書かれたのにそれを明示していないレビューを、ページや構造化データに含めないよう追加しました。
では、口コミについて何ができるのですか?
| ✅ できる | 条件 |
|---|---|
| レビューを書ける導線を用意する(依頼メール・QR 等) | 対価を条件にしない。内容を指定しない |
| 「PR」「広告」と明示したうえでのタイアップ | 明示が消費者に分かる形であること |
| 実際の顧客の声を、許諾を得て自社サイトに掲載 | 事業者の表示であることが明らかなので規制外 |
そのうえで、口コミが AI の推薦にどこまで効くのかは、分かっていないことも多い領域です。
| 主張 | 根拠の強さ | 根拠 |
|---|---|---|
| 口コミ・レビューの量が、AI の推薦に効く | △ 仮説 | どの場の口コミが効くかは固定できない |
| AI の引用元の構成は、数週間で大きく入れ替わる | ◎ 実証 | Semrush 社(2025 年 11 月):ChatGPT の検索回答で特定の掲示板を引用した割合が、約 60% から約 10% へ |
効果が不確かな一方で、違反した場合の措置命令は公表され、口コミ削除・アカウント停止のリスクもあります。特定の口コミの場に頼る施策は、その場が来月も同じように引用される保証がない、という前提で考える必要があります。
根拠の強さは、◎ 実証(当方の実測、または複数の独立した調査が同じ結論)/○ 有力/△ 仮説/✕ 否定されつつある、の 4 段階で示しています。
当方は打ち手の優先順位の中で、レビューの導線づくり(E-1)を 7 番目に置いています。先に取り組むべきは、AI が根拠にしている比較記事の特定と、そこでの載り方です(LLMO 対策の打ち手 34 と、着手の優先順位)。
なお、医療(自由診療)は、医療広告ガイドラインで患者の体験談そのものが禁止されています。他業種の口コミ施策の型を、そのまま持ち込むことはできません。
※ 本記事で紹介した外部の調査の内容は、記載した発表時点のものであり、当方が独自に検証したものではありません。