実測レポート

地域の会社を AI に聞くと、会社名は出なかった

「福岡で評判のいい工務店は?」「東京でおすすめの制作会社は?」を AI に聞くと、どちらの答えにも会社名は 1 社も出ず、ランキングや一覧記事への案内が返りました。根拠 10 件の内訳と、地域の会社がまず確かめることを、実測から整理します。

この記事の要点

  • 地域の工務店と制作会社を探す質問に、AI は会社名を 1 社も挙げず、「このランキングや一覧を見てください」と案内しました(各 1 回の観測)
  • 根拠は、工務店では住宅のポータルが 10 件中 9 件、制作会社では制作会社自身が書いた一覧記事が 10 件中 5 件でした
  • 地域の会社は、AI が案内する先(ポータル・一覧記事)に自社が載っているか、どう紹介されているかを先に確かめると、手を打つ場所が決まります

地域の会社を探す質問に、AI はどう答えたのですか?

どちらの質問でも、会社名は出ませんでした。AI は「答え」ではなく「どこを見ればいいか」を返しました。

質問挙がった会社名AI が返した内容
福岡の注文住宅の工務店0 社住宅の大手ポータルのランキング(県と市)を見るよう勧め、ほかの住宅ポータルや建築の専門家を探すサービスも紹介した
東京のホームページ制作会社0 社選び方の観点(デザイン重視か集客重視か・実績と費用・体制と納期)を挙げ、「12 選」「30 社」などの一覧記事を紹介し、条件を聞き返した

どちらも 1 回分の結果です。「この分野ではいつもこうなる」とは言えず、「こういう答え方をすることがある」という観測として読んでください。

根拠になったのは、どんなページですか?

工務店ではポータル、制作会社では同業者が書いた一覧記事が中心で、各社の自社サイトはどちらも 0 件でした。

根拠のページの種類工務店の質問制作会社の質問
住宅のポータル(ランキング・一覧・紹介ページ)8—
発注先・専門家を探すサービス1発注先探しのサービス・ランキング・メディア 4
地域の情報メディアの「おすすめ」記事1—
同業の会社が自社のサイトで書いた一覧記事05
note の記事01
各社の自社サイト(会社案内・施工例など)00

工務店の質問で 1 件だけあった「ある工務店の紹介ページ」も、工務店の自社サイトではなく、ポータルの中のページでした。

制作会社の質問では、10 件のうち 5 件が「制作会社が自社のサイトで書いた、東京の制作会社の一覧」でした。同業者を並べた記事を制作会社が自分で書き、それが AI の根拠になっていたことになります。4 つの分野の根拠をまとめて分類した結果は AI の根拠 40 件を分類:公式ページは 0 件だった にあります。

会社名が出ないとき、お客様はどこで会社を選ぶのですか?

AI に案内された先のページで選びます。AI は最初の案内役で、比べる場所はポータルや一覧記事になります。

お客様の動き起きていること
1. 「福岡で評判のいい工務店は?」と AI に聞くAI は会社名を挙げず、ランキングのページを勧める
2. 勧められたランキングのページを開くそのページに載っている会社だけが、比べる候補になる
3. ページの中で施工例・口コミ・料金を見比べる掲載情報の中身と新しさで、印象が決まる
4. 気になった会社に資料請求・来場予約をするここで初めて、会社のサイトや窓口に来る

この流れでは、AI の答えに自社名が出ないことより、案内された先のページで自社がどう見えているかのほうが、問い合わせに近いところで効きます。案内先に載っていなければ、比べる場にも入れません。

地域の質問では、いつも会社名が出ないのですか?

そうとは限りません。分野や聞き方で、答え方は変わります。

以前、地域の士業の事務所を探す質問をしたときは、AI は事務所の名前を 7 つ挙げていました(AI 検索は地域で変わる:全国 1 位が地名で圏外に)。候補が多く、1 社ごとの情報が少ない分野では、AI は自分で選ばずに「選んでいるページ」へ案内する、というのが当方の見立てですが、仮説の段階です。

主張根拠の強さ根拠
地域の工務店・制作会社の質問で、AI は会社名を挙げなかった◎ 実証本記事の実測(各 n=1)
根拠は、ポータルや同業者が書いた一覧記事が中心だった◎ 実証本記事の実測(根拠 20 件)
候補が多い地域の分野では、AI は一覧のページへ案内しやすい△ 仮説2 つの質問の観測のみ。士業では社名が挙がった
案内先のページの載り方が、問い合わせに影響する△ 仮説お客様の動きからの推論。問い合わせとの関係は測っていない

根拠の強さは、◎ 実証(当方の実測、または複数の独立した調査が同じ結論)/○ 有力/△ 仮説/✕ 否定されつつある、の 4 段階で示しています。

地域の会社は、何を確かめればいいですか?

社名を入れずに 3 つの質問を聞き、答えと根拠を記録します。

質問の型例見るところ
おすすめを聞く「(地域)でおすすめの(業種)は?」会社名は出たか。出ないなら、どのページに案内されたか
困りごとから聞く「(地域)で(お客様の困りごと)に強い(業種)は?」自社の強みと合う聞かれ方で、名前が出るか
選び方を聞く「(業種)を選ぶときのポイントは?」どんな観点が挙がるか。自社の掲載情報にその観点が書かれているか

案内先のポータルや一覧記事に自社が載っていたら、次はその中身を見ます。

  • 施工例・実績・料金の目安など、具体的な情報が載っているか
  • 口コミや評価が古いままになっていないか
  • 紹介文が「何に強い会社か」の分かる書き方になっているか

ポータルの掲載情報は、会社の側で更新できることが多いはずです。AI の答えを直接変えることはできなくても、AI が案内する先の中身は自分で整えられます。地名の入れ方で答えが変わる点は 店舗・地域ビジネスの AI 検索対策:地名で答えが変わる で整理しています。

自社のサイトで同業者を含む一覧記事を書く場合は、選んだ基準と調べた日を書き、自社だけを不自然に良く見せる書き方は避けてください。根拠のない「No.1」の表示は、景品表示法の不当表示として問題になりえます。

よくある質問

何回聞けば、傾向が分かりますか?

日を変えて 2〜3 回を勧めます。本記事の結果は各 1 回分で、毎回同じ答え方になるかは分かっていません。どのページがいつも根拠に入るかは、回数を重ねて初めて見えてきます。

ポータルに有料で掲載すれば、AI に案内されやすくなりますか?

分かりません。掲載の前後を比べた実測を、当方はまだ持っていません。有料の掲載は広告にあたるため、広告であることが分かる表示が必要です。まずは無料の掲載情報の中身(実績・料金の目安・紹介文)を最新にするところから始めるのが確実です。

自社サイトは、もう直さなくてもいいのですか?

直す価値はあります。ポータルや一覧記事を書く人も、会社のサイトを見て情報を集めるためです。また、社名を入れた質問では、自社サイトが根拠になりやすいと考えられます。AI の答えが自社サイトだけで決まるわけではない、という前提で順番をつけてください。

計測条件と免責

本ページに記載した数値は、明記した計測条件(エンジン・モデル・反復回数・実施日)のもとで観測された結果です。 生成 AI の回答は継続的に変動するため、同じ条件で再計測しても同一の結果になるとは限らず、将来の結果を保証するものではありません。 また本ページは、特定の施策によって出現率・順位が向上することを保証するものではありません。

法規制に関する記述は、公表されている運用基準にもとづく一般的な整理であり、法的助言ではありません。個別の判断は専門家にご確認ください。

本ページに登場する計測対象・競合は、特に断りのない限り社名を伏せています。特定の企業・サービスを推奨または批判する意図はありません。