この記事の要点
- 4 つの分野の「おすすめは?」に AI が示した根拠 40 件のうち、32 件(8 割)が比較記事・ポータルなどの第三者のページで、推薦された各社の公式ページは 0 件でした
- 根拠の顔ぶれは分野で大きく違いました。IT の製品は比較記事、住宅はポータル、制作会社は同業者が書いた一覧記事が中心でした
- 同じ質問を 2 回聞くと、根拠の 10 件は URL まで同じでした。まず自社の分野の「根拠 10 件」を書き出すことから始められます
AI は「おすすめは?」に答えるとき、どんなページを根拠にしているのですか?
大半は、複数の会社や製品をすでに比べてある第三者のページでした。
4 つの分野で「おすすめは?」を聞き、示された根拠を 1 件ずつ分類しました。5 回の答えで 50 件が示され、同じページの重なりを除くと 40 件です。
| 根拠のページの種類 | 件数 | 割合 |
|---|---|---|
| 第三者の比較・ランキング記事 | 21 | 53% |
| 第三者のポータル(住宅のポータル、発注先を探すサービスなど) | 10 | 25% |
| 企業が自社のサイトで書いた「おすすめ◯選」 | 7 | 18% |
| 第三者のレビューサイト | 1 | 3% |
| note の記事 | 1 | 3% |
| 推薦された(または候補の)各社の公式ページ | 0 | 0% |
以前、士業(相続分野)の質問で根拠 10 件を分類したときも、8 件が第三者の比較・紹介のページでした(AI の引用元、10 件中 8 件は第三者の比較記事だった)。分野を変えても、同じ傾向が出たことになります。
もう 1 つ数えたのが、題名や説明に「2026 年」「最新」の言葉が入っているかです。40 件中 20 件に入っていました。
分野によって、根拠の顔ぶれは違うのですか?
違いました。どこに載るべきかは、分野ごとに確かめる必要があります。
| 質問の分野 | 根拠の内訳(重複を除く) | 中心になっていたページ |
|---|---|---|
| クラウド会計ソフト | 比較・ランキング記事 10 | 第三者の比較メディア |
| 勤怠管理システム | 比較・ランキング記事 7、企業が書いた比較記事 2、レビューサイト 1 | 第三者の比較メディア |
| 地域の注文住宅の工務店 | 住宅のポータルなど 9、地域の住宅情報メディア 1 | 住宅のポータル |
| 地域のホームページ制作会社 | 制作会社が書いた一覧記事 5、発注先探しのサービス・ランキング・メディア 4、note の記事 1 | 同業者が書いた一覧記事 |
意外だったのは、企業が自分のサイトで書いた比較記事が 7 件あったことです。勤怠管理では、同じ分野の製品を持つ会社が書いた「◯選」が入っていました。制作会社の質問では、10 件のうち 5 件が「制作会社が自社のサイトで書いた制作会社の一覧」でした。
一方で、各社の「製品紹介」「会社案内」のページは 1 件も入っていません。同じ企業のサイトでも、根拠になっていたのは「自社の紹介」ではなく「分野全体の比較」のページでした。地域の 2 つの分野では、AI は会社名を挙げずに一覧のページへ案内しました(地域の会社を AI に聞くと、会社名は出なかった)。
同じ質問を 2 回聞くと、根拠は変わるのですか?
会計ソフトの質問では、変わりませんでした。根拠の 10 件は、2 回とも URL まで同じでした。
| 見たもの | 1 回目 | 2 回目 |
|---|---|---|
| 挙がった製品 | 5 つ(定番 3 つ+用途に応じて 2 つ) | 4 つ |
| 上位 3 つの顔ぶれと順番 | — | 1 回目と同じ |
| 答えの長さ | 145 字 | 401 字 |
| 根拠の 10 件 | 第三者の比較・ランキング記事 10 件 | 1 回目と URL まで同じ |
士業の事務所を探す質問を 3 回聞いたときは、同じ事務所が「圏外 → 1 位 → 1 位」と大きく動き、根拠の顔ぶれも回ごとに入れ替わりました(AI の回答は毎回違う?同じ質問を 3 回投げた実測)。会計ソフトのように比較記事の顔ぶれが固まっている分野では、AI の答えも固まりやすいのかもしれません。ただし、これは 2 回だけの観測で、仮説の段階です。
なぜ、各社の公式ページは選ばれにくいのですか?
「おすすめは?」は、複数の候補を比べてほしいという質問だからだと考えています。以下はいずれも仮説です。
| 考えられる理由 | 観測したこと |
|---|---|
| 質問の言葉と、ページの題名が合っている | 「中小企業」「おすすめ」「クラウド会計ソフト」がそろって題名に入っているのは、比較記事のほうだった |
| 1 ページで複数の候補が分かる | 根拠になったページは、どれも複数の会社や製品を並べていた |
| 新しさが題名で分かる | 40 件中 20 件の題名・説明に「2026 年」「最新」が入っていた |
公式ページが「おすすめは?」の根拠になりにくくても、無関係ではありません。比較記事を書く人は、各社の公式ページを見て書きます。また、社名を入れた質問(「◯◯社の特徴は?」)では、公式ページが根拠になることが多いはずです。自社サイトは、AI が読むページに正しい情報が載るための「元の情報」として整える、と考えるのが実態に合っています。
ここまでの主張を、根拠の強さとあわせて整理します。
| 主張 | 根拠の強さ | 根拠 |
|---|---|---|
| 「おすすめは?」の根拠の大半は、第三者のページだった | ◎ 実証 | 本記事の 40 件と、士業の 10 件(別の日・別の分野) |
| 推薦された各社の公式ページは、根拠に入らなかった | ◎ 実証 | 本記事の 40 件(4 分野・計 5 回) |
| 根拠の種類は、分野によって違う | ◎ 実証 | 本記事の 4 分野の内訳 |
| 比較記事の顔ぶれが固まった分野では、答えも固まりやすい | △ 仮説 | 会計ソフトの n=2 と士業の n=3 の比較のみ |
| 題名に新しさが書かれたページは、根拠に選ばれやすい | △ 仮説 | 40 件中 20 件。比較の対照は取っていない |
根拠の強さは、◎ 実証(当方の実測、または複数の独立した調査が同じ結論)/○ 有力/△ 仮説/✕ 否定されつつある、の 4 段階で示しています。
自社の分野では、どう確かめればいいですか?
社名を入れずに「おすすめは?」を聞き、根拠のページを全部書き出して、5 つに分けます。
| 根拠のページの種類 | まず確かめること |
|---|---|
| 第三者の比較・ランキング記事 | 自社は載っているか、何番目か、何が強みとして書かれているか |
| 第三者のポータル・発注先探しのサービス | 自社の掲載情報(実績・料金の目安・紹介文)が最新か |
| 第三者のレビューサイト | 口コミの中身と時期。対価を条件に高評価を頼むことはしない |
| 企業が書いた比較記事 | 競合や同業者が書いていないか。自社で書くなら基準を明示する |
| 企業の公式ページ | 社名を入れた質問で、根拠になっているかを別に確かめる |
書き出す表の列は、URL・題名・種類・自社は載っているか・何番目か・題名の年、の 6 つで足ります。1 回 15 分ほどです。1 回だけでは偏るので、日を変えて 2〜3 回分を合わせてから、件数の多い種類に手をつけてください。載り方の確かめ方は LLMO の比較メディア掲載:どのサイトを選ぶか にまとめています。
載っていれば安心、とは限りません。自社サイトが根拠に使われていたのに、答えの中では推薦されなかった例もあります(AI に引用はされるのに、推薦されない)。
※ 根拠のページの分類は、当方が題名と URL をもとに行ったもので、各ページの内容までは確認していません。