実測レポート

AI の根拠 40 件を分類:公式ページは 0 件だった

4 つの分野の「おすすめは?」を AI に聞き、根拠として示されたページ 40 件を分類すると、第三者のページが 32 件、推薦された各社の公式ページは 0 件でした。同じ質問を 2 回聞くと、根拠の 10 件は URL まで同じでした。分野ごとの違いと、自社で確かめる手順を整理します。

この記事の要点

  • 4 つの分野の「おすすめは?」に AI が示した根拠 40 件のうち、32 件(8 割)が比較記事・ポータルなどの第三者のページで、推薦された各社の公式ページは 0 件でした
  • 根拠の顔ぶれは分野で大きく違いました。IT の製品は比較記事、住宅はポータル、制作会社は同業者が書いた一覧記事が中心でした
  • 同じ質問を 2 回聞くと、根拠の 10 件は URL まで同じでした。まず自社の分野の「根拠 10 件」を書き出すことから始められます

AI は「おすすめは?」に答えるとき、どんなページを根拠にしているのですか?

大半は、複数の会社や製品をすでに比べてある第三者のページでした。

4 つの分野で「おすすめは?」を聞き、示された根拠を 1 件ずつ分類しました。5 回の答えで 50 件が示され、同じページの重なりを除くと 40 件です。

根拠のページの種類件数割合
第三者の比較・ランキング記事2153%
第三者のポータル(住宅のポータル、発注先を探すサービスなど)1025%
企業が自社のサイトで書いた「おすすめ◯選」718%
第三者のレビューサイト13%
note の記事13%
推薦された(または候補の)各社の公式ページ00%

以前、士業(相続分野)の質問で根拠 10 件を分類したときも、8 件が第三者の比較・紹介のページでした(AI の引用元、10 件中 8 件は第三者の比較記事だった)。分野を変えても、同じ傾向が出たことになります。

もう 1 つ数えたのが、題名や説明に「2026 年」「最新」の言葉が入っているかです。40 件中 20 件に入っていました。

分野によって、根拠の顔ぶれは違うのですか?

違いました。どこに載るべきかは、分野ごとに確かめる必要があります。

質問の分野根拠の内訳(重複を除く)中心になっていたページ
クラウド会計ソフト比較・ランキング記事 10第三者の比較メディア
勤怠管理システム比較・ランキング記事 7、企業が書いた比較記事 2、レビューサイト 1第三者の比較メディア
地域の注文住宅の工務店住宅のポータルなど 9、地域の住宅情報メディア 1住宅のポータル
地域のホームページ制作会社制作会社が書いた一覧記事 5、発注先探しのサービス・ランキング・メディア 4、note の記事 1同業者が書いた一覧記事

意外だったのは、企業が自分のサイトで書いた比較記事が 7 件あったことです。勤怠管理では、同じ分野の製品を持つ会社が書いた「◯選」が入っていました。制作会社の質問では、10 件のうち 5 件が「制作会社が自社のサイトで書いた制作会社の一覧」でした。

一方で、各社の「製品紹介」「会社案内」のページは 1 件も入っていません。同じ企業のサイトでも、根拠になっていたのは「自社の紹介」ではなく「分野全体の比較」のページでした。地域の 2 つの分野では、AI は会社名を挙げずに一覧のページへ案内しました(地域の会社を AI に聞くと、会社名は出なかった)。

同じ質問を 2 回聞くと、根拠は変わるのですか?

会計ソフトの質問では、変わりませんでした。根拠の 10 件は、2 回とも URL まで同じでした。

見たもの1 回目2 回目
挙がった製品5 つ(定番 3 つ+用途に応じて 2 つ)4 つ
上位 3 つの顔ぶれと順番—1 回目と同じ
答えの長さ145 字401 字
根拠の 10 件第三者の比較・ランキング記事 10 件1 回目と URL まで同じ

士業の事務所を探す質問を 3 回聞いたときは、同じ事務所が「圏外 → 1 位 → 1 位」と大きく動き、根拠の顔ぶれも回ごとに入れ替わりました(AI の回答は毎回違う?同じ質問を 3 回投げた実測)。会計ソフトのように比較記事の顔ぶれが固まっている分野では、AI の答えも固まりやすいのかもしれません。ただし、これは 2 回だけの観測で、仮説の段階です。

なぜ、各社の公式ページは選ばれにくいのですか?

「おすすめは?」は、複数の候補を比べてほしいという質問だからだと考えています。以下はいずれも仮説です。

考えられる理由観測したこと
質問の言葉と、ページの題名が合っている「中小企業」「おすすめ」「クラウド会計ソフト」がそろって題名に入っているのは、比較記事のほうだった
1 ページで複数の候補が分かる根拠になったページは、どれも複数の会社や製品を並べていた
新しさが題名で分かる40 件中 20 件の題名・説明に「2026 年」「最新」が入っていた

公式ページが「おすすめは?」の根拠になりにくくても、無関係ではありません。比較記事を書く人は、各社の公式ページを見て書きます。また、社名を入れた質問(「◯◯社の特徴は?」)では、公式ページが根拠になることが多いはずです。自社サイトは、AI が読むページに正しい情報が載るための「元の情報」として整える、と考えるのが実態に合っています。

ここまでの主張を、根拠の強さとあわせて整理します。

主張根拠の強さ根拠
「おすすめは?」の根拠の大半は、第三者のページだった◎ 実証本記事の 40 件と、士業の 10 件(別の日・別の分野)
推薦された各社の公式ページは、根拠に入らなかった◎ 実証本記事の 40 件(4 分野・計 5 回)
根拠の種類は、分野によって違う◎ 実証本記事の 4 分野の内訳
比較記事の顔ぶれが固まった分野では、答えも固まりやすい△ 仮説会計ソフトの n=2 と士業の n=3 の比較のみ
題名に新しさが書かれたページは、根拠に選ばれやすい△ 仮説40 件中 20 件。比較の対照は取っていない

根拠の強さは、◎ 実証(当方の実測、または複数の独立した調査が同じ結論)/○ 有力/△ 仮説/✕ 否定されつつある、の 4 段階で示しています。

自社の分野では、どう確かめればいいですか?

社名を入れずに「おすすめは?」を聞き、根拠のページを全部書き出して、5 つに分けます。

根拠のページの種類まず確かめること
第三者の比較・ランキング記事自社は載っているか、何番目か、何が強みとして書かれているか
第三者のポータル・発注先探しのサービス自社の掲載情報(実績・料金の目安・紹介文)が最新か
第三者のレビューサイト口コミの中身と時期。対価を条件に高評価を頼むことはしない
企業が書いた比較記事競合や同業者が書いていないか。自社で書くなら基準を明示する
企業の公式ページ社名を入れた質問で、根拠になっているかを別に確かめる

書き出す表の列は、URL・題名・種類・自社は載っているか・何番目か・題名の年、の 6 つで足ります。1 回 15 分ほどです。1 回だけでは偏るので、日を変えて 2〜3 回分を合わせてから、件数の多い種類に手をつけてください。載り方の確かめ方は LLMO の比較メディア掲載:どのサイトを選ぶか にまとめています。

載っていれば安心、とは限りません。自社サイトが根拠に使われていたのに、答えの中では推薦されなかった例もあります(AI に引用はされるのに、推薦されない)。

※ 根拠のページの分類は、当方が題名と URL をもとに行ったもので、各ページの内容までは確認していません。

よくある質問

公式ページは、整えなくてもいいのですか?

整える価値はあります。比較記事を書く人が参照する元の情報であり、社名を入れた質問では根拠になりやすいためです。ただ、「おすすめは?」の答えは公式ページだけでは決まらない、という前提で優先順位をつけてください。

自社のサイトで比較記事を書いてもいいのですか?

書くこと自体は問題ありませんが、選んだ基準と調べた日を書き、自社に有利な書き方を避ける必要があります。根拠のない順位づけや「No.1」の表示は、景品表示法の不当表示(優良誤認)として問題になりえます。

何回分を集めれば、判断できますか?

最低でも日を変えて 2〜3 回分を勧めます。根拠の顔ぶれが固まっている分野もあれば、回ごとに入れ替わる分野もあり、1 回分ではどちらか分からないためです。何回分の結果かは、必ず添えて記録してください。

計測条件と免責

本ページに記載した数値は、明記した計測条件(エンジン・モデル・反復回数・実施日)のもとで観測された結果です。 生成 AI の回答は継続的に変動するため、同じ条件で再計測しても同一の結果になるとは限らず、将来の結果を保証するものではありません。 また本ページは、特定の施策によって出現率・順位が向上することを保証するものではありません。

法規制に関する記述は、公表されている運用基準にもとづく一般的な整理であり、法的助言ではありません。個別の判断は専門家にご確認ください。

本ページに登場する計測対象・競合は、特に断りのない限り社名を伏せています。特定の企業・サービスを推奨または批判する意図はありません。