用語解説

生成 AI はどうやって答えを作るのか:検索と引用の仕組み

生成 AI の答えは、質問の読み替え、材料集め、文章づくりの 3 段階で作られます。当方の実測では、検索をしない AI は 270 回の回答で根拠のページを 1 件も示しませんでした。仕組みを知ると、企業の名前が挙がる条件が見えてきます。

この記事の要点

  • 生成 AI の答えは「質問の読み替え → 材料集め → 文章づくり」の 3 段階で作られます
  • 材料を検索で集める AI と、学習済みの知識だけで答える AI があり、根拠のページを示すかどうかが違います
  • 企業の名前が答えに入るのは、その回の材料の中に、推薦に値する形で書かれているときです

生成 AI は、どうやって答えを作っているのですか?

「答えを検索して見つけてくる」のではなく、「材料をもとに文章を毎回組み立てている」のが生成 AI の特徴です。そのため、同じ質問でも答えの文章は回ごとに変わります。

答えができるまでの流れは、次の 3 段階に分けると理解しやすくなります。

段階何が起きているか企業にとっての意味
1. 質問の読み替え長い質問を、検索に使う短い言葉に書き換える。1 つの質問から複数の検索を行うこともある見込み客の質問そのものではなく、書き換えた言葉で検索される
2. 材料集め検索で見つけたページを読む。検索をしない AI は、学習済みの知識を材料にするその回の材料に自社の情報が入っていなければ、名前は挙がりにくい
3. 文章づくり材料をまとめて答えの文章を組み立て、根拠のページへのリンクを添える材料に入っていても、推薦に値する形で書かれていないと候補にならない

質問は、どう読み替えられているのですか?

各社はこの段階を公式に説明しています。

  • Google:AI モードでは、質問を小さな論点に分け、利用者の代わりに複数の検索を行う「クエリ ファンアウト」という仕組みを使うと説明しています(2025 年 9 月の日本語提供開始時の発表)
  • OpenAI:ChatGPT の検索は、入力された内容を対象を絞った 1 つ以上の検索用の問い合わせに書き換えて、連携する検索サービスに送ることがあると説明しています。IP アドレスから推定したおおよその地域や、保存されたメモリを使って書き換えることもあるとしています(OpenAI ヘルプ「ChatGPT でウェブを検索する」)

たとえば「相続税の申告で頼れる事務所は?」という質問は、「相続税 申告 税理士 おすすめ」のような検索の言葉に置き換えられて検索されます。AI が実際に見に行くのは、この検索の結果です。

材料集めには、どんな違いがありますか?

材料をどこから持ってくるかで、AI は大きく 2 つの型に分かれます。

学習知識型検索連動型
材料学習済みの知識その回の検索で見つかったページ
根拠のページ示さない示す
情報の新しさ学習した時点まで検索した時点まで
例ウェブ検索を使わない設定の AIPerplexity、Google の AI 概要・AI モード、ChatGPT の検索

当方の実測では、検索をしない設定の AI は、根拠のページをほぼ示しませんでした。

見たもの結果
回答の中に URL が書かれていた回270 回中 3 回
そのうち、根拠として参照したページを示したもの0 件(3 回とも、本文に書かれた公式サイトへのリンク)

同じ名前のサービスでも、ウェブ検索を使う画面・設定かどうかで型が変わります。型ごとの違いは ChatGPT・Gemini で LLMO の打ち手は違うのか で詳しく扱いました。

文章づくりの段階で、何が決まるのですか?

材料の中から、どの企業を候補として挙げ、どの順に並べ、どう説明するかが決まります。ここで 2 つのことが起きます。

1 つ目は、材料に入った企業が挙がりやすいことです。当方の実測では、ある企業のサイトが根拠として引用された 2 回はその企業が 1 位で挙がり、引用がなかった 1 回は圏外でした(AI の回答に登場したのは、引用された回だけだった)。

2 つ目は、材料に入っていても、推薦されるとは限らないことです。自社のサイトが地域の解説の根拠に使われただけで、推薦の候補には入らなかった例も観測しています(AI に引用はされるのに、推薦されない)。

主張根拠の強さ根拠
生成 AI の答えは、同じ質問でも回ごとに変わる◎ 実証当方の実測
検索をしない AI は、根拠のページを示さない◎ 実証当方の実測(270 回中 0 件)
検索連動型では、材料に入った企業が挙がりやすい◎ 実証(観測の範囲で)当方の実測(3 回)。連動の観測で、因果の証明ではない
材料に入れば、必ず推薦される✕ 否定されつつある引用されても推薦されない例を観測

根拠の強さは、◎ 実証(当方の実測、または複数の独立した調査が同じ結論)/○ 有力/△ 仮説/✕ 否定されつつある、の 4 段階で示しています。

この仕組みから、企業は何をすればいいのですか?

段階ごとに、確かめる場所が変わります。

段階確かめること
質問の読み替え見込み客が実際に使う聞き方で、AI に質問してみる(社内の言葉で測らない)
材料集め検索をする AI で、根拠として示されたサイトを書き出す。自社や、自社が載っているページが入っているか
文章づくり材料に入っているのに挙がらないなら、載っている場所での書かれ方(何に強いか、具体的な数字)を見直す

自社で確かめる手順は LLMO 計測の方法:AI 検索での見え方を無料で測る にまとめました。

※ 外部の公式ドキュメントの内容は、記載した時点のものです。

よくある質問

生成 AI は、インターネットの情報をすべて知っているのですか?

知りません。学習知識型の AI が知っているのは学習した時点までの情報で、しかもそのすべてを正確に覚えているわけではありません。検索連動型の AI も、その回の検索で見つかったページしか読んでいません。

AI が答えに添えるリンクは、必ず根拠になっていますか?

検索連動型の AI が示す引用元は、その回に読んだ材料です。一方、学習知識型の AI が本文に書く URL は、文章の一部として書かれたもので、参照した証拠にはなりません。OpenAI も、検索結果や引用は不完全だったり古かったりする場合があるので、引用元を開いて確かめるよう案内しています。

答えが毎回変わるなら、測っても意味がないのでは?

逆です。毎回変わるからこそ、同じ質問を複数回投げて「何回中何回挙がったか」を数える必要があります。数え方は AI の計測は何回必要か:n=3 の根拠と限界 にまとめました。

計測条件と免責

本ページに記載した数値は、明記した計測条件(エンジン・モデル・反復回数・実施日)のもとで観測された結果です。 生成 AI の回答は継続的に変動するため、同じ条件で再計測しても同一の結果になるとは限らず、将来の結果を保証するものではありません。 また本ページは、特定の施策によって出現率・順位が向上することを保証するものではありません。

法規制に関する記述は、公表されている運用基準にもとづく一般的な整理であり、法的助言ではありません。個別の判断は専門家にご確認ください。

本ページに登場する計測対象・競合は、特に断りのない限り社名を伏せています。特定の企業・サービスを推奨または批判する意図はありません。