この記事の要点
- 自社名を入れた質問(「◯◯の評判は?」「◯◯と△△はどちらがいい?」)を AI に投げると、AI が自社をどう説明しているかが分かります
- 見るのは「名前が出るか」ではなく、説明が正しいか、古くないか、否定的に書かれていないか、根拠は何かです
- 同じ質問を複数の AI に 3 回ずつ投げ、答えを原文のまま残すと、あとから比べられます
AI に「評判」を聞かれたとき、何が起きているのですか?
「◯◯社の評判は?」と聞かれた AI は、学習済みの知識や、その回に検索で見つけたページ(口コミサイト、比較記事、ニュース、自社サイトなど)をもとに、自社の特徴、長所と短所、他社との違いを文章にまとめます。
見込み客にとっては、この文章が「その会社の第一印象」になります。米国の G2 の調査(2026 年 4 月公表・BtoB の意思決定者 1,076 人)では、85% が AI に名前を挙げられたベンダーをより好意的に見ると答え、45% がレビューサイトの引用を最も信頼できる材料に挙げました。海外のソフトウェア購買の調査ですが、AI の説明と、その根拠になっている口コミが、候補の評価に影響していることを示しています。
自社名を入れた質問では、何が分かるのですか?
社名を入れた質問では、自社の名前が出るのは当然です。当方の計測でも、自社の評判を聞く質問では、対象サービスの名前は毎回挙がっていました。
| 質問の型 | 回答数 | 対象サービスが推薦の対象として挙がった割合 |
|---|---|---|
| 自社の評判を聞く | 9 | 100% |
| 自社と競合を並べて聞く | 18 | 100% |
| 競合の評判を聞く | 18 | 5.6% |
だから、指名質問で見るべきなのは出るかどうかではなく、どう書かれているかです。同じ計測全体でも、「回答のどこかで言及された」回と「推薦の対象として挙げられた」回の割合は一致しませんでした(65.6% と 64.1%)。名前が出ていても、勧められていない回がある、ということです。
どんな手順で確かめればいいですか?
| 手順 | やること |
|---|---|
| 1. 質問を用意する | 「(自社)の評判は?」「(自社)の短所は?」「(自社)と(競合)はどちらがいい?」「(自社)は何の会社?」の 4 本を基本にする |
| 2. AI を選ぶ | 検索をする AI(引用元が表示されるもの)を必ず 1 つ入れる。根拠がたどれるため |
| 3. 条件をそろえる | ログアウトして行う。同じ文面のまま 3 回ずつ続けて投げる |
| 4. 原文を残す | 答えの文章と引用元を、そのまま保存する(要約しない) |
| 5. 記録する | 下の表の項目で、1 回ごとに記録する |
| 記録する項目 | 見るポイント |
|---|---|
| 説明は正しいか | 事業内容・価格・所在地・設立年などに誤りがないか |
| 古くないか | 終了したサービスや、以前の価格が書かれていないか |
| 否定的な記述はあるか | 何について、どの根拠にもとづいて書かれているか |
| 競合と比べてどう書かれているか | 何が優れていて、何が劣るとされているか |
| 根拠は何か(検索をする AI の場合) | 口コミサイト・比較記事・ニュース・自社サイトのどれか |
質問の作り方の全体は LLMO のプロンプト設計:計測する質問の作り方 にまとめています。
気になる説明が見つかったら、どうすればいいですか?
AI の答えを直接直す手段はありません。直すのは、AI が根拠にしている情報のほうです。
| 見つかったこと | 次にやること |
|---|---|
| 事実の誤り・古い情報 | 根拠になっているページを特定し、自社サイトの記載を正確にし、掲載先に訂正を依頼する(AI が自社について間違ったことを答えるとき) |
| 否定的な記述 | 口コミの中身が事実なら、まず実態を直す。事実と違うなら、掲載先の手続きに沿って対応する |
| 強みが伝わっていない | 比較記事など、すでに載っている場所で、何に強いかと具体的な数字が書かれているかを見直す |
口コミを増やそうとするときは注意が必要です。割引やギフトを条件に高評価を依頼するなどのやり方は、ステルスマーケティング規制(景品表示法・2023 年 10 月〜)の対象となりえ、措置命令の対象です。内容によっては優良誤認として課徴金もありえます(口コミを増やす LLMO 施策と、ステマ規制)。
| 主張 | 根拠の強さ | 根拠 |
|---|---|---|
| 指名質問では、自社の名前はほぼ必ず出る | ◎ 実証 | 当方の実測(9 回中 9 回) |
| 名前が出ても、勧められているとは限らない | ◎ 実証 | 当方の実測(言及と推薦の割合の差) |
| AI に名前を挙げられると、買い手の印象が良くなる | ○ 有力 | G2 の調査(海外・自己申告) |
| AI の答えを、企業が直接書き換えられる | ✕ 否定されつつある | 各社とも、個別の企業が答えを直す手段は提供していない |
根拠の強さは、◎ 実証(当方の実測、または複数の独立した調査が同じ結論)/○ 有力/△ 仮説/✕ 否定されつつある、の 4 段階で示しています。
※ 外部の調査の内容は、記載した発表時点のものであり、当方が独自に検証したものではありません。