この記事の要点
- 海外の調査では、BtoB の購買担当者の 51% が、Google より先に AI で調べ始めることが多いと答え、AI は候補リストに最も影響する情報源になりました
- AI が並べる候補は、売り手が「競合」だと思っている相手と一致しません。当方の実測では、回答の 94% に、登録していなかったサービスが挙がっていました
- 売り手が確かめるべきなのは、見込み客の聞き方で AI に質問したとき、自社が候補に入るか、どう説明されるかです
BtoB の購買担当者は、どのくらい AI を使っているのですか?
ソフトウェアのレビューサイトを運営する G2 が、2026 年 4 月に購買行動の調査を公表しています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象 | 北米・欧州・アジア太平洋の BtoB の意思決定者 1,076 人 |
| 時期 | 2026 年 3 月 |
| 見たもの | 結果 |
|---|---|
| ソフトウェアを調べ始めるとき、Google より AI チャットボットを使うことが多い | 51% (2025 年 4 月の調査では 29%) |
| ソフトウェアの調査に AI チャットボットを使っている | 71% |
| AI の助言をもとに、別のベンダーを選んだことがある | 69% |
| 知らなかったベンダーから購入したことがある | 33% |
| AI に名前を挙げられたベンダーを、より好意的に見る | 85% |
| 最も信頼できる材料として、レビューサイトの引用を挙げた | 45% |
G2 は、AI チャットボットが候補リストに最も影響する情報源になったとしています。海外のソフトウェア購買の調査で、回答は自己申告です。日本のすべての業種に同じ割合が当てはまるわけではありませんが、候補を絞る場所が、検索結果や展示会から AI の答えへ広がっていることは読み取れます。
国内でも、生成 AI サービスを使ったことがある個人は 58.8% になりました(総務省 令和 8 年版情報通信白書・2026 年 7 月公表)。
AI が並べる候補は、売り手が思う競合と同じですか?
同じではありません。当方は、競合 3 つを登録したうえで AI の答えを測り、実際に挙がった名前をすべて拾いました。
| 見たもの | 結果 |
|---|---|
| 登録外のサービスが 1 つ以上挙がった回 | 225 回中 212 回(94%) |
| 最も優先して勧められたのが登録外のサービスだった回 | 225 回中 79 回(35%) |
| 登録していなかったサービスのうち、1 位率で対象サービスを上回ったもの | 1 つ |
売り手が商談で当たる相手と、AI が並べて勧める相手は違う、ということです。詳しくは LLMO の競合分析:登録した競合の外に何がいるか にまとめました。
売り手は、何を確かめればいいですか?
| 確かめること | 方法 | 理由 |
|---|---|---|
| 社名を含まない質問で、自社が候補に入るか | 「◯◯のツールでおすすめは?」「中堅企業向けの◯◯は?」などを、3 回ずつ複数の AI に投げる | 候補リストに入る入口 |
| 自社がどう説明されるか | 「(自社)の評判は?」「(自社)と(競合)の違いは?」を投げ、原文を残す | 候補に入ったあとの評価(自社の評判を AI はどう答えるか) |
| AI が何を根拠にしているか | 検索をする AI で、引用元を書き出す | どこに載れば候補に入りうるかの手がかり |
| 誰と並べられているか | 答えに挙がった名前をすべて拾う | 見落としていた比較相手が分かる |
G2 の調査で、レビューサイトの引用が最も信頼できる材料に挙げられたことは、当方の実測で AI の根拠の大半が第三者の比較記事だった(10 件中 8 件)ことと同じ方向を向いています(AI の引用元、10 件中 8 件は第三者の比較記事だった)。比較サイト・レビューサイトでの載り方は、LLMO の比較メディア掲載:どのサイトを選ぶか で扱いました。
レビューを集めるときは、対価を条件にしないことが前提です。割引やギフトと引き換えに高評価を依頼するなどのやり方は、ステルスマーケティング規制(景品表示法・2023 年 10 月〜)の対象となりえ、措置命令の対象です。内容によっては優良誤認として課徴金もありえます。
| 主張 | 根拠の強さ | 根拠 |
|---|---|---|
| BtoB の購買で、AI は候補の絞り込みに影響している | ○ 有力 | G2 の調査(海外・ソフトウェア購買・自己申告) |
| AI が並べる候補は、売り手が決めた競合と一致しない | ◎ 実証 | 当方の実測(回答の 94% に登録外) |
| AI の根拠の大半は、第三者の比較・レビューの情報 | ◎ 実証 | 当方の実測(1 問・1 回分の 10 件) |
| 日本の BtoB でも、半数が AI で調べ始めている | △ 仮説 | 国内で同じ方法の公開データは見当たらない |
根拠の強さは、◎ 実証(当方の実測、または複数の独立した調査が同じ結論)/○ 有力/△ 仮説/✕ 否定されつつある、の 4 段階で示しています。
※ 外部の調査の内容は、記載した発表時点のものであり、当方が独自に検証したものではありません。