この記事の要点
- AI は、社名を入れた質問では公式サイトなどを、社名を入れない質問では比較記事やポータルなどの第三者のページを読んで、会社を紹介します
- 広報が整えたいのは、正式名称・会社とサービスの関係・数字・対象と料金・よくある質問・日付・第三者のページの 7 つです
- まず社名を入れて AI に聞き、誤りを見つけてから直すと、どこから手をつけるかが決まります
AI は、会社の紹介文をどこから作っているのですか?
聞かれ方によって、読むページが違います。
| 聞かれ方 | 例 | AI が読むことの多いページ |
|---|---|---|
| 社名を入れた質問 | 「◯◯社はどんな会社?」「◯◯社の評判は?」 | 公式サイト、求人サイト、ニュース、ポータルなど |
| 社名を入れない質問 | 「おすすめの◯◯は?」 | 比較記事、ポータル、レビューサイトなど第三者のページ |
社名を入れない質問について、当方が 4 つの分野で根拠のページ 40 件を分類したところ、推薦された各社の公式ページは 0 件でした(AI の根拠 40 件を分類:公式ページは 0 件だった)。それでも公式サイトは無関係ではありません。比較記事を書く人も、会社の公式サイトを見て書くからです。公式サイトは、AI が直接読む場所であり、AI が読むページの元の情報でもあります。
公式サイトの情報が、AI の紹介文にそのまま使われた例もあります。
この回、対象の法人は 1 位で紹介され、紹介文には年間の申告件数・在籍人数・拠点数といった、法人のサイトに載っている数字が添えられていました(AI の回答に登場したのは、引用された回だけだった)。
広報は、どの情報から整えればいいのですか?
7 つあります。根拠の強さが同じではないので、強さを添えて並べます。
| # | 整える情報 | やること | 根拠の強さ |
|---|---|---|---|
| 1 | 正式名称と表記のゆれ | 社名・サービス名・英字表記・略称をそろえ、会社概要に別の呼び方も併記する | △ 仮説 |
| 2 | 会社とサービスの関係 | 「◯◯は、株式会社△△が提供する□□です」の 1 文を、サービスのページと会社概要の両方に置く | △ 仮説 |
| 3 | 数字を文章で書く | 設立年・拠点数・実績の件数・従業員数・対応地域を、「実績多数」ではなく「年間◯件」と書く。画像の中だけに書かない | ○ 有力 |
| 4 | 誰向けか・料金の目安・できること | 対象の顧客、料金の目安、できること・できないことを 1 ページにまとめる | △ 仮説 |
| 5 | よくある質問 | お客様が実際に聞く言葉で、質問と答えを並べる | △ 仮説 |
| 6 | 日付と、終わった情報 | ニュースや沿革に日付を入れ、終了したサービスや移転前の住所が残っていないか確かめる | ○ 有力 |
| 7 | 第三者のページに載った自社の情報 | 求人サイト・ポータル・比較記事・業界団体の名簿の情報を年 2 回点検し、違っていたら運営者に直してもらう | ◎ 実証 |
7 を ◎ としたのは、社名を入れない質問の根拠の大半が第三者のページだった、という当方の実測にもとづきます。3 は、数字や統計を載せたページが引用されやすいという調査が複数あることから ○ としました。6 は、AI が古い情報を答える原因として、古いページが残っていることが多いためです。1・2・4・5 は、考え方として筋が通りますが、効果を直接示したデータは当方の手元にありません。
根拠の強さは、◎ 実証(当方の実測、または複数の独立した調査が同じ結論)/○ 有力/△ 仮説/✕ 否定されつつある、の 4 段階で示しています。
整える前に、いまの紹介のされ方をどう確かめますか?
社名を入れて、2 つの質問を AI に聞きます。
- 「◯◯社とはどんな会社ですか?特徴と料金を教えて」
- 「◯◯社の評判はどうですか?デメリットも教えて」
答えを読むときは、次の 5 つを見ます。
| 見るところ | 誤りが見つかったときに直す情報(上の表の番号) |
|---|---|
| 事業の内容が合っているか | 2・4 |
| 料金や対象の顧客が、いまのものか | 4・6・7 |
| 終わったサービスや機能が、いまもあるように書かれていないか | 6・7 |
| 似た名前の別の会社と、取り違えられていないか | 1・2 |
| 否定的な書かれ方があるなら、その根拠はどのページか | 7 |
評判の確かめ方は 自社の評判を AI はどう答えるか:確かめ方と記録の型、誤りの直し方は AI が自社について間違ったことを答えるとき:直し方 で詳しく扱っています。
やってはいけないことは、何ですか?
3 つあります。いずれも、短期的に見栄えを良くしようとして起きがちです。
| やってはいけないこと | なぜか |
|---|---|
| 根拠のない「No.1」「業界最大級」と書く | 景品表示法の不当表示(優良誤認)として問題になりえる |
| AI だけに読ませる、人には見えない文字を置く | 検索エンジンのスパムに関するポリシーに反しうる |
| 割引や謝礼を条件に、口コミや高評価を頼む | ステルスマーケティング規制(景品表示法・2023 年 10 月〜)の対象。措置命令の対象であり、内容によっては優良誤認として課徴金もありえる |
口コミについては 口コミを増やす LLMO 施策と、ステマ規制、広告表示については 「AI 検索で 1 位」の広告表示は景表法に触れるおそれ にまとめています。
どの順番で進めればいいですか?
確かめる → 第三者のページ → 自社サイト → 仕組み化、の順です。
| 順番 | やること | 対応する情報 |
|---|---|---|
| 1 | 社名を入れて聞き、誤りを見つける | — |
| 2 | 第三者のページを点検し、違いを直してもらう | 7 |
| 3 | 自社サイトの数字・対象と料金・よくある質問を整える | 3・4・5 |
| 4 | 名称・会社とサービスの関係・日付の管理を仕組みにする | 1・2・6 |
この順なら、手を動かした分だけ答えの変化を確かめやすくなります。広報の仕事は、これまで「人に正しく伝える」ことでした。AI の答えも、元をたどれば人が書いたページです。AI 向けに特別なことをするより、人に正しく伝わる情報を古くならないように保つことが、AI に正しく紹介してもらう近道だと当方は考えています。
点検に使えるよう、7 項目をチェックリストにしておきます(年 2 回)。
- □ 正式名称と別の呼び方を、会社概要に書いている
- □ 「◯◯は△△が提供する□□」の 1 文が、サービスのページと会社概要にある
- □ 設立年・拠点数・実績件数・人数を、文章で書いている
- □ 誰向けか・料金の目安・できることが、1 ページで分かる
- □ よくある質問を、お客様の言葉で書いている
- □ ニュースと沿革に日付があり、終わったサービスや古い住所が残っていない
- □ 求人・ポータル・比較記事・名簿に載った自社の情報を確かめ、違いを直してもらった
※ 計測対象の社名は伏せています。